医療ブログ
喫煙と不妊(特に男性不妊に関して)
今日は喫煙と不妊のテーマを書きます。
患者さんから、「妊娠力を上げるために、食事とか、生活習慣は何を気を付ければ良いでしょうか?」というご質問を沢山頂きます。そういう時には、私は「好きなものを食べて、普段通りに生活すれば良いと思いますよ!」と伝えるようにしています。特別な何かを摂取したり、逆に何か一つの食材を我慢することで妊娠出来るのであれば、こんなに楽なことはありません。お酒についても、泥酔する程で無ければ良いのではないでしょうか。不妊治療は先が見えない長距離走みたいなものです。「あれもこれもダメ!」だけでは、長続きしません。
私もポテトチップス大好きですし。
ただし、タバコだけは別です。
喫煙と不妊の関係は、すでに明確に証明されているからです。以下、その端的なものです。
① 喫煙者では妊娠を希望してから授かるまでの期間が有意に長くなる。
② 喫煙者の精液所見は非喫煙者と比べて平均で20%程度悪くなる。
③ 喫煙者の精液は、活性酸素(細胞を障害する有害物質)濃度が有意に高い。
現在、日本人の平均喫煙率は20%といわれますが、不妊患者さんの喫煙率を、ご夫妻のいずれかが吸っている頻度とすれば、間違いなく20%を超えています。
このことからも、喫煙自体が妊娠に負の要素を与えていることが分かるでしょう。
そこで、メディカルパークでは5年くらい前から、「禁煙指導外来」を開設しています。
禁煙指導を行うためには、県の認可が必要なのですが、これも何度も厳しい審査をくぐり抜けて漸く認可を頂きました。
以来、禁煙補助薬を保険で処方することが可能になりました。
女性側はさすがに少なくなりましたが、男性側が喫煙していることは今でも普通にあります。
タバコが精子に影響する事を伝えると、御主人様はとても驚いて、そして、多少バツが悪そうな顔をします。
その場で禁煙治療の開始を決断される方と、決断出来ずに、ずるずる行ってしまう方が半々という感じです。
CMではありませんが、是非、早めにお医者さんにご相談ください。
ronbun-2014.pdf (medicalpark-shonan.com)
数年前に受精着床学会学会誌に掲載された論文です。ご興味ある方はダウンロード下さい。
※当記事は2021年6月6日付の田中院長amebaブログより参照。