不妊治療

内視鏡手術と不妊治療

レーザー蒸散術

 子宮頸癌健診で見られる異常の中には、「異形成」と言われる病変があります。正常を「白」、がんを「黒」とするならば、異形成は「灰色」の状態と言えます。この灰色病変にも白に近い灰色と黒に近い灰色があります。正常に近い(白に近い)状態から、癌に近い(黒に近い)状態につれて、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)と3段階に分類されます。一般的には、軽度・中等度の異形成までは、数か月ごとの経過観察で良く、高度異形成異常を治療の対象とします。高度異形成では円錐切除術を行うことが一般的です。円錐切除は全世界で広く行われている手技ですが、問題点もあります。そのうちの一つが早産・流産の増加の可能性です。円錐切除を行うと、子宮の頸管が短くなるために、妊娠した際に赤ちゃんを子宮内にとどめておく力が弱くなってしまって、早産などのリスクが上がる可能性が指摘されています。

 そのため、当院ではこの度、円錐切除術の代替になる手法として、神奈川県内で初めて半導体レーザーによる子宮頸部蒸散術を導入致しました。対象になる患者様は、中等度異形成(CIN2)と高度異形成(CIN3)で、病変が癌化する前の段階で治療を行うことが目的です。円錐切除術では数日の入院が必要になるのに対して、レーザー蒸散術は日帰りで帰宅できます。子宮頸部を蒸散するだけで、切除するわけでは無いので、出血もほとんどありません。当然、早産のリスクとはほとんど無関係です。ただし、簡便な反面、円錐切除よりも異形成の再発リスクは高いと言われています。文献的には、中等度異形成では5~10%、高度異形成では約20%程度の再発率と報告されています。

 蒸散術を御希望される場合には紹介状を持参して頂き、可能であれば、細胞診・組織診などの標本も御持参下さい。当院でも精査のうえ、レーザー蒸散術の適応になるかどうか精査して慎重に進めていきます。


円錐切除術

レーザー蒸散術後

円錐切除術IMAGE

レーザー蒸散術 症例動画