不妊治療

高度不妊治療

体外受精・顕微授精など、体の外で受精させる治療を高度生殖補助医療(ART)といいます。
体外受精による妊娠は年々増え続け、2012年には総出生児数約103万7000人のうち体外受精児は3万7953人になり、約27人に1人の割合となりました。

一般不妊治療と比べると体の負担や経済的な負担は大きくなりますが、人工授精で妊娠できない場合や女性の年齢が高い場合などには、体外受精は有効な治療法になります。

体外受精の流れ

体外受精は、①排卵誘発、②採卵・採精、③受精、④胚培養、⑤胚移植、⑥黄体補充、⑦妊娠判定の流れで行われます。

  1. 排卵誘発

    排卵誘発剤を使い、卵を育てます。誘発方法は大きく「低刺激法」「中刺激法」「高刺激法」に分かれます。体外受精を成功させるポイントは、良質な卵子をできるだけ多く採ること。しかし、多く採ろうとすれば体への負担も大きくなります。
    患者様の年齢、予備能、卵巣の状態にあわせて、目標採卵個数を決め、最適な方法をご提案します。

    目標採卵個数

    ※フェマーラはレトロドールという一般名で、乳がんの治療薬です。アロマターゼ インヒビター(阻害薬)というもので、この副作用として排卵誘発効果があることが知られています。

    • ロング法、ショート法、アンタゴニスト法は毎日注射をします。
    • ロング法とショート法は勝手に排卵をしないように、排卵を抑制する点鼻薬を一緒に使いながら注射を毎日する方法で、点鼻薬を使う期間が長いか短いかで分かれています。
    • アンタゴニスト法は排卵しないように使う薬がアンタゴニストで、生理が始まった7~8目くらいから注射をしてブレーキをかけるという方法。
  2. 採卵・採精

    卵巣から成熟した卵子を取り出すことを採卵といいます。
    卵子の個数が多いと予測される場合は点滴で静脈下麻酔をしますが、自然周期法などで個数が少ない場合は、麻酔を使わないこともあります。

    超音波モニターを見ながら膣から卵巣に向かって細い針を刺し、卵胞の中にある卵子を吸引します。
    時間は約15分です。採卵した卵子はすぐに培養液の中に移され、培養器の中で保管されます。

    精液は採卵日に病院で採取するか、自宅で採取して持参します。また、あらかじめ凍結保存しておいた精子を使うことも可能です。採取された精液は洗浄・濃縮などの処理をし、運動良好精子を回収します。

    採卵IMAGE

    採精室

  3. 受精

    シャーレの中の卵子に精子を振りかけます(媒精)。これを培養器の中に入れておくと、約18時間で精子が卵子の中に侵入し、受精が起こります。

    顕微授精について

    卵子1個に対して良好運動精子が規定数に満たない場合や奇形率が高い場合、過去に体外受精では受精しづらかった場合は、顕微授精(ICSI)を行うことがあります。
    顕微受精とは、顕微鏡で観察しながら良好精子を選び、細い針を使って精子を卵子の中に入れる方法です。受精に必要な精子は1匹なので、運動精子が極端に少ない重度の男性不妊の方でも妊娠が期待できます。また卵子の細胞質内に確実に精子を入れるので、体外受精に比べると受精率が20~30%上がります。

    どの受精方法を行うかは、患者さんと医師で相談しながら決めていきます。

    顕微授精写真
  4. 胚培養

    18時間後に受精しているかどうかを顕微鏡で確認し、受精していたら再び培養器で培養を続けます。
    胚の培養は温度、湿度、phなどの厳密な管理のもとで行われます。
    受精卵は2日目で4分割、3日目で8分割と、細胞分裂を繰り返しながら成長します。
    さらに培養を続けると、採卵から5~6日目には胚盤胞に到達します。

    胚の分裂

  5. 胚移植

    受精卵を子宮に戻すことを胚移植といいます。移植には初期胚移植(4~8分割)、胚盤胞移植があります。受精卵をシリコンカテーテルという細いチューブで吸引し、それを膣から子宮へ挿入し、超音波で確認しながら子宮内へそっと置きます。

    胚移植

    受精卵をその周期のうちに移植することを「新鮮胚移植」、一度凍結した受精卵を移植することを「凍結融解胚移植」といいます。
    排卵誘発剤を使うと、子宮の環境が着床に適さない状態になることがあります。その場合はすぐに受精卵を移植せずに凍結しておき、子宮の状態がよくなったところで移植するという方法をとります。

    アシステッドハッチングについて

    アシステッドハッチングとは、胚盤胞移植を行う前に胚の透明帯に切れ目を入れて脱出するのをアシストし、着床しやすくする手法です。方法はいくつかありますが、当院では透明帯を十字に切開する方法を用いています。

  6. 黄体補充

    排卵後の卵巣からは黄体ホルモン、卵胞ホルモンが分泌されます。これらは子宮内膜を厚くして着床に備えたり、胚の発育を助けたりする働きがあります。体外受精ではこの黄体機能が不安定になる場合があるため、黄体ホルモンの補充をします。補充法には注射や内服薬、坐薬などがあります。

  7. 妊娠判定

    排卵日から12~14日目に、採血をして血中のhCGの数値を計り、妊娠判定を行います。hCGは妊娠時にのみ産出されるホルモンです。

体外受精のさらに詳しいご方法や、スケジュール、費用などは月1回開催している「体外受精説明会」でご説明しています。

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