医療ブログ

爪にはご用心

文責:田中 / 2021年7月30日

先週金曜日の夕刻。

外来終了直前の時間帯で、分院から子宮外妊娠の疑いの患者さんが紹介されて来ました。

確かに、これは危ない状況だと判断し、その場で入院して頂き、翌日、緊急手術を行うことになりました。ところが、その患者さまは両手両足のすべての爪にネイルをされていました。手術には、マニュキュアなどは大敵なのです。麻酔中は、酸素飽和度と言って、指に小さな機械を付けて、静脈血中の酸素濃度を常時モニターする必要があります。ところが、マニュキュアなどを付けているとうまく酸素飽和度が測定できないことがあるのです。ですから、必ず事前に落として頂くものなのですが、最近のジェルネイルなどは、自分では取れないものが多いらしいのです。この患者さんの場合も、お店に行かないと取れないタイプでした。時間はもう20時過ぎ。自分でネットで調べました。生まれて初めてホットペッパーでお店を検索してしまいましたよ。そして、紹介されているお店を上から電話。しかし、ことごとくダメ。そもそも、殆どのお店がつながらない。そりゃそうでしょう。こんな時間に。中には「どういったご用件で?手短にお願いします。」などと、明らかなに怪しんでくるお店も。

 

しかし、病気の状況上、早く手術をしてあげないと危険な状況です。藁をもすがる思いで、知人に片っ端からメール。「誰かネーリストさん知りませんか?」すると、知人の知人の知人が、出張サービスをしてくれるかも知れない、というではありませんか。藁をもすがる思いでその知人の知人の知人の知人にお願いしました。

 

翌日朝.。

8時過ぎに、病院の前で知人の知人の知人の方を出迎え、4階のカフェテリアに患者さんとともにエスコート。そこで、奇麗にはがして頂きました。そして、作業が終了次第手術へ。やはり予想通りに子宮外妊娠でした。お腹の中にはたくさんの出血が溜まっており、時期を逸していたら、危険な状態になっていたかも知れません。手術は無事に終了して、患者さんももうすでに退院されました。

 

良かった良かった。

知人の知人の知人の中島様。

わざわざ病院まで出張して下さり、ありがとうございました。

感謝申し上げます。

 

皆様、お爪にはどうぞお気を付けてください。

※当記事は2021年5月7日付の田中院長amebaブログより参照。