医療ブログ
無排卵月経
「私は無排卵なのでしょうか?」
無排卵月経を心配して来院される患者さんが大勢おられます。メディカルパークだけでも、沢山いる訳ですから、日本全国で見てみれば、「妊娠しない原因は、自分の無排卵月経が原因なのではないか?」と悩んでいる方はものすごく多くはずです。
しかし、実際に検査をしてみると、正常に排卵している方が大多数です。
多くの患者さんが無排卵を心配する理由の一つが、基礎体温表です。排卵周期が保たれている場合、女性の基礎体温は低温相と高温相のいわゆる「二相性」になります。一方、無排卵の場合、基礎体温は2相性にならずに、無秩序にギザギザした波形になります。厄介な事に、基礎体温は、例えば、血圧の測定値や、採血の数値のように、誰がどのようにやっても同じ値にならず、計った時間、タイミング、はたまた体温計のクオリティによって数値が変動してしまいます。すると、本来の正しい体温が計測されずに、それを記録したグラフから無排卵と誤認されてしまうケースも多くあります。また、最近はスマートフォンのアプリに記録している方も多いのですが(ただし、何故か入間分院では紙媒体で持ってくる方が多い。)、アプリに入っているグラフの縮尺によっても見易さが全然変わってきます。こうした「ノイズ」によって、正常に排卵があっても、基礎体温は結構乱れてしまうものなのです。
ご心配であれば、一人で悩まずに、2周期程基礎体温を記録してから、お近くの産婦人科にお持ちいただくと良いでしょう。我々からすれば、そうした誤差は当然織り込み済みなわけで、少々乱れている基礎体温表でも、排卵が有るのか無いのかは、大抵解読できます。
2年ほど前にも、無排卵月経を取り上げたことがありますので、ご参考にしてください。
「妊娠しないのは、私が排卵していないからでは無いでしょうか?」「前に行っていた産婦人科の先
生から『あなたは無排卵月経かも知れない』と言われた。」「インターネッ…ameblo.jp
因みに、昔NHKの「歴史ヒストリア」という番組で見たことがあるのですが、女性の基礎体温の変化を世界で最初に発見したのは「オギノ式」で有名な荻野久作医師です。ノーベル賞ものの発見だと思いますが、「日本人だから」というだけの理由で、海外の学会で受け入れられずに苦労したそうです。ただ、現在の医療現場では、基礎体温表の重要性は昔ほど大きくなく、超音波検査、ホルモン採血検査、尿検査などに取って変わられつつあります。
さて、実際に、日常の診療の中で、無排卵月経の方は次の3パターンにほぼ大別されます。
- (1)多嚢胞性卵巣症候群
- (2)脳下垂体の問題
- (3)卵巣機能低下
今日は、この辺で。
次回はこれらについて解説致します。