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メディカルパークで出産予定の方々へ
周知のとおり、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、神奈川県にも緊急事態宣言が出されております。メディカルパーク湘南では当然新型コロナウイルスに感染している妊婦さんを受け入れることはありませんが、今後、不顕性感染や潜伏期にある患者さんが、本人が自覚しないままに医療機関を受診する可能性はあります。そのため、当院では、あらゆる患者さんが一定の感染リスクを有すると考え、標準予防策をとるとともに三密防止を徹底して参ります。ついては、以下の3点を患者さんにお願い申し上げます。
① 院内への立ち入りは、患者様本人のみとさせて頂きます。
付き添いのご主人様、ご家族の方は、病院外で待機をお願い申し上げます。また、立ち合い分娩、入院中のお見舞いもお控え下さい。一か月健診の場合には、お子さんとお母さまのみ院内にお入りください。
② 無痛分娩を強く推奨します。
通常の分娩では陣痛の痛みにより、妊婦さんは呼吸が浅くなり、場合によっては過呼吸を起こす場合があります。新型コロナウイルス感染では、「エアボーン感染」と呼ばれる感染経路が危惧されています。このエアボーン感染は、空気媒介感染と呼ぶべきものであり、従来考えられていた飛沫感染より小さな飛沫が、空気の流れに乗って、より広い範囲に流れて感染が広がるものです。つまり、陣痛が強くなればなるほど、感染のリスクが増す可能性があるのです。無痛分娩にすれば、陣痛の痛みを大幅に軽減出来ますので、その分医療者・患者様双方にとってのリスク軽減になると考えられます。
③ 軽微な感冒症状だけでも緊急帝王切開を選択する場合があります。
院内でもっとも隔離レベルが高いのは手術室です。手術室は陰圧管理(空気を外部に潅流させない仕組み)となっているからです。分娩進行中に新型コロナウイルス感染をほんのわずかでも疑う場合には、速やかに手術室に移動して頂き、厳重管理の元、帝王切開で娩出を行う場合があります。
妊婦における感染率や重症化率に関する公式情報はありませんが,現時点ではインフルエンザのように妊産婦における重症化や死亡率が特に高いという報告はありません。 Lancet の報告では,武漢市内で妊娠後期にCOVID-19に罹患した妊婦9例の解析で経過や重症度は非妊婦と変わらず,子宮内感染は見られなかったとしています 。妊婦は免疫力が低下してあらゆる感染症にかかりやすいといった不正確な情報が SNSで広まっているようですが、どうか惑わされないようお願い申し上げます。 母子感染については,武漢で出生後30時間の新生児に感染が見られたという報道がありますが,子宮内感染かどうかは確認されていません。さらに胎盤病理解析を行った3例では、母子感染は認められませんでした。
分娩は一生のうち、数回しかない大きなイベントだと思います。立ち合いや付き添うなど、楽しみにされていたご家族の方の心中は察して余りありますが、安全に勝るものはありません。我々医療者も常在戦場のつもりで、この難局を乗り切りたいと思います。ご理解とご協力の程、よろしくお願いいたします。
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Huijun Chen et al.
Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission potential of COVID-19 infection in nine pregnant women: a retrospective review of medical records. The Lancet. DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30360-3