不妊治療

不育症について

不育症とは?

自然流産は全妊娠の10~15%起こりますが、流産を2回繰り返すことを反復流産、3回以上繰り返すことを習慣流産といい、不育症と定義します。
自然流産率を15%とすると、反復流産の確率は2.25%(0.15×0.15)、3回連続して流産する確率は0.34%(0.15×0.15×0.15)と計算されます。
しかし、習慣流産の実際の発生率は0.5~3%とこの計算値よりもずっと高く、この数字の乖離の背景には何らかの流産を繰り返す因子が働いていると考えられています。

不育症のリスク因子別頻度

不育症検査について

子宮形態検査
子宮卵管造影などで、子宮の形態異常の有無を検査します。
内分泌検査
甲状腺ホルモン、血糖値検査などで、甲状腺機能、糖尿病などを検査します。
夫婦染色体検査
夫婦の染色体を検査(血液検査)します。
抗リン脂質抗体検査
血栓を起こしやすくする、抗リン脂質抗体の有無を検査します。
血液凝固因子検査
血液凝固因子を検査します。

不育症の治療

検査結果を踏まえ、治療方法を選んで行きます。1つの薬剤だけでは無く、さまざまな薬剤を組み合わせたりすることもあり、方針は原因によってさまざまです。尚、不育症の代表的な治療法として、血栓予防のために使用されるへパリン製剤がありますが、H24年2月より、在宅自己注射が保険収載されるようになり、患者さんの経済的・時間的ストレスが随分と改善されました。

子宮形態異常
手術療法について、中隔子宮はメリットがありますが、双角子宮は無治療と妊娠成功率が同じであったことから、積極的な手術療法はファーストチョイスの治療法ではありません。
内分泌異常
内科専門医の診察を受け、甲状腺機能亢進・低下症は正常機能となってから、糖尿病は十分コントロールしてから次の妊娠に望み、妊娠後も引き続き治療を行います。
染色体異常
十分な遺伝カウンセリングをうけます。最終的に子供を持てる割合は染色体正常カップルと比べ、決して低くはありません。
抗リン脂質抗体症候群
陽性であった場合、12週間以上の間隔をあけて再検査を受けます。低用量アスピリン+ヘパリンカルシウムが基本的な治療法となります。妊娠中は血液の凝固状態等をチェックしながら治療を続けます。
Protein S欠乏症
妊娠10週までの繰り返す初期流産の既往があるときは、低用量アスピリン療法を行います。妊娠10週以降の流産・死産の既往がある場合、低用量アスピリン+ヘパリン療法が低用量アスピリン療法より有効という報告があります。
第XII因子欠乏症
明確な治療方針はありませんが、低用量アスピリン療法で良好な治療成績が得られています。