院長ブログ

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アピール

2019年6月13日

「もしもし」
「あ、オレ」
「何?」
「悪い。オレ、今日は帰り遅くなる。これから緊急の手術だ。」
「あ、そう。」
「腹痛で受診された患者さんが、どうも子宮外妊娠の破裂みたいなんだ。」
「あ、そう。」
「メシ、先に食っててくれ。じゃ、切るよ。今直ぐにオペ室に行かなくちゃ行けないから。」
「あのさあ。」
「何?」
「いくらアピールしたところで、食事はいつも通り質素なもんしかないからね。『頑張ったから御馳走でも準備してくれてんじゃないか』とか、下らない期待しないでね。では、ごゆっくり。」

子宮内細菌フローラ

2019年6月10日

またまた真面目な事を書きます。

受精卵が着床する子宮は神秘にあふれています。子宮は嚢状になっています。要するに、子宮の中は空洞です。これまで、この空洞の中は無菌状態であると考えられていました。つまり、一匹の雑菌もいない、超清潔な状態。ところが、近年の研究により、子宮内腔にも沢山の細菌が住んでいることが分かってきたのです。子宮内に住む細菌の中で最も豊富に存在するのがラクトバチルス属菌(Lactobacillus)と言われるものです。一般では「乳酸桿菌」とも呼ばれています。2016年にある論文が発表され話題を呼びました。それによれば、この乳酸桿菌の割合が90%以上の群と90%以下の群で体外受精の成績を調査したところ、90%以上の群では着床率で約2.5倍、出生率で約10倍もの差が見られた、というのです。

この結果は、子宮内の乳酸桿菌の減少が、不妊の原因となり得ることを示唆しています。いわゆる着床障害の原因になっている可能性もあるのです。

では、この乳酸桿菌の割合を調べることは難しいのでしょうか?否。これが意外と簡単なのです。それが「子宮内膜マイクロバイオーム検査(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis:通称EMMA」と呼ばれる検査です。腸の中に沢山の細菌が住んでおり、この腸内細菌のバランスを整えることが健康につながることは、一般的にも知られていることかと思います。この概念は「細菌叢(そう)」あるいは「細菌フローラ」と呼ばれ、近年の健康ブームの中で注目されています。『叢』とはくさむらのことです。私達の体重のなんと1-3%が数多の細菌の重さだ、というから驚きです。そして、腸内の細菌フローラを改善するためのサプリメントなどが沢山発売されているようです。EMMAは子宮内の細菌フローラに着目した検査なのです。

メディカルパークでは、複数回の移植で不成功だった患者さんを対象に、このEMMA検査を推奨しています。(ネットなどで調べてこの検査だけを受けに来院された患者さんもおられます。)2019年5月までの集計をしてみたところ、約1年弱の間に、27名の患者さんがEMMA検査を受けていました。驚くべきことに、このうち、21名(78%)もの患者様がこの乳酸桿菌の割合が90%以下だったのです。中には、ほぼ0%という患者様も9名(33%)いました。

当院ではEMMA検査に加えて、「ALICE」と呼ばれる検査も組み合わせて行うようにしています。このEMMAとALICEを同時に行うことで、悪玉菌の割合だけでは無く、悪玉菌種の種類の同定まで行うことが可能となります。(実は、この検査の受託先も前回登場したアイジェノミクス社なのです。スペイン恐るべし!)

興味がある方は、外来でお問い合わせください。次回は、EMMA&ALICE検査で、乳酸桿菌の割合が極度に少なかった場合の治療と、当院の治療成績についてご報告いたします。

真面目バージョン、続きます。

山里と蒼井優が結婚!!

2019年6月07日

「こんなクズをよくぞもらってくれた。」

南海キャンディーズの山里氏の結婚記者会見で飛び出した相方しずちゃんの発言。
それを夜のニュースで見ていた妻がつぶやきました。

「クズと一緒になると、マジ苦労するのにね~。分かってるのかしら、この女優さん」

別にもう反論する気にもなりませんが。

着床障害への光

2019年5月30日

久しぶりに真面目な事を書いてみたいと思います。

私達が日常の診療で最も苦慮するケースの一つが、着床障害です。読んで字のごとく、「移植を何度やっても妊娠しない」状態を指します。メディカルパークでは、形態的良好胚の移植を3回ないしは4回繰り返しても妊娠しない場合を、「着床障害」と定義しています。

着床障害の原因は、卵管水腫、子宮内膜ポリープ、母体の免疫能の異常など、多岐に渡ります。その原因の一つとして、最近、「implantation window:着床の窓」が注目されています。妊娠が成立するためには、受精卵の子宮内(正確には子宮内膜)への「着床」(内膜内に潜り込んで接着する)というプロセスが必須です。この子宮内膜には「受容能」と呼ばれるべきものがあって、いつでも受精卵を受け入れる準備が出来ている訳では無く、受容可能な時期は極めて短いと考えられています。一般的には排卵日から数えて、4.5日~5日目位に、この「着床の窓」が開き、着床しやすくなるとされています。つまり、この「窓」が開くとされるタイミングを見計らって移植の時間を設定する訳です。

以前から、この着床の窓が開くタイミングがずれている患者さんが少なからず存在し、このずれが着床障害の一因になっていると考えられていました。しかしながら、子宮内膜の受容能の正体が解明されておらず、実際の「ずれ」を検査することが出来ませんでした。ところが、最近になって、この「着床の窓」の検査が出来るようになったのです。それがERA:ERA (Endometrial Receptivity Analysis:内膜受容能検査)と呼ばれるものです。この検査は、患者様の子宮内膜組織細胞を採取して、236個の遺伝子産物の発現パターンを解析することで、着床に最適なタイミングを導き出す、というものです。ERA検査を受けられた方の30%近くが「着床の窓」の時期がずれていたという結果もあります。

当院でもこのERA検査を導入以来、相当数の患者さんがERA検査をご希望されるようになっています。特に最近、都内から、ERA検査だけをご希望されて、受診される方が増えています。確かに、良好胚盤胞を何度も移植しても妊娠しなかった典型的な着床障害の患者さんが、ERA検査で「窓のずれ」が発見され、着床のタイミングをずらしたところ、途端に妊娠する、という症例を経験するたび、ERA検査の威力を見せつけられる思いです。

ただ、個人的に、ちょっとモヤモヤがあるのです。検査を受託しているのはスペインのバイオベンチャー企業です。この会社が独自に上記236個の遺伝子解析方法を開発したわけですが、その具体的手法は特許になっており、完全シークレットなのです。そのため、我が国の検査機関は完全に蚊帳の外になっています。

こうした医学の進歩の貢献するような技術を、営利目的の特許に繋げるというやり方に、どうも違和感を感じてしまうのです。だって、もしも私がその開発者だったなら、特許申請など一顧だにせず、何の躊躇いも無く、その技術を無償で世界に公開して、誰にでも惜しみなくその技術提供していたに違い無いのです。医療技術はみんなのものです。独り占めはいけません。

妻との会話中にポロっとこんなことを話してしまいました。
「いやいやいや、あんたはがっつり儲けに走ると思いますけどね!私が保証するわ。あ、そもそも、そんな凄いもの、あんたに開発出来る訳ないから。」

うーん。またしても正論。

付記:
都内から患者さんが来られるのは当院の金額設定が安いからだと思われます。(それでも10万円!もかかりますが。)時々、患者さんから「『安かろう悪かろう』ってことは無いのですか?」的な質問を頂きますが、寡占技術なので、受注している会社は日本全国すべからく同じです。どこの施設でやっても同じクオリティーですので、ご安心ください。

鶴の恩返し

2019年5月15日

ここ数日、娘の姿をついぞ見ていません。家には帰ってきているようです。しかし、ほぼ自分の部屋に引きこもったまま、決して出てきません。気配すらありません。例の若年型認知症が更に進行してしまっている可能性もあります。さすがに心配になりまして。思い切って、部屋のドアをノックしてみました。

「何?」
ノックの音に反応がありました。良かった。生きてはいるようです。
「おい、居るのか?居るなら顔見せなさい。」
「今はダメ」
「ちょっと開けるぞ。」
「止めて!!絶対に開けないで!!」
急に張り詰めた金切り声が響きました。
「何言ってるんだ。もう何日も顔見てないじゃないか。開けるぞ。」
「止めて!絶対に開けないで!!絶対にダメ!!」
姿は見えませんが、凄い剣幕なのです。それでも私は食い下がりました。
「良いじゃないか。元気な顔見たら納得するから。ちょっとだけだから。開けるぞ!」
私はドアノブに手をかけました。ゆっくり回そうとしました。
「お願いだから止めて!!!」

ドアノブを回す手がそこで止まりました。瞬間、頭をよぎったのです。

「鶴の恩返し」

もしも、もしも、ですよ。ドアを開けたら、そこで鶴がいて、機織りじゃなくても、何か作業していて、それで私に見られた瞬間に窓から大空に飛び立っていってしまって、それで二度と自分の元に帰って来なかったらどうしよう。

私は、ドアノブからそっと手を離し、そしてそっとその場から立ち去ったのでした。

あ、ご安心を。
数時間後、娘はしっかり人間の姿で食卓で一人カップラーメンを啜っておりました。
無論、翼は生えておりませんでした。

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