院長ブログ

HOME > 院長ブログ

ストレス善玉説

2019年7月22日

再び患者様から頂く代表的な質問をご紹介します。
「先生、妊娠しないのはやっぱりストレスが原因でしょうか?」

ストレスフリーな生活。
それは老若男女問わず誰しもが夢見る桃源郷。
でもそんなに世の中甘くありません。満額の年金を頂戴しても老後が不安な世の中、言わんや、たとえ沢山の凍結胚があっても、誰しもが将来の妊娠に不安な気持ちを持ちながら治療を続けているのです。こうした漠然とした不安も、確実に大きなストレスでしょう。

最近、このストレスについて、考えることがあります。
当法人は愛川町にサービス付き高齢者住宅を運営しています。「ケアシスパーク愛川」という名前です。私も月に1回程度、回診に行くようにしています。ここには常時30名近くの高齢者の方が入居されていますが、そうすると、入居者の中でもコミュニティが出来てくるものです。さて、ここで仲良くなった女性二人がいました。Aさん、Bさんとしておきます。お二人は大変気が合うようで、食堂もいつも一緒の席、血圧をお互いに測定し合うような仲でした。Aさんは90歳を過ぎており、自力の歩行がままならず、ほぼ車いすの生活です。一方、Bさんは80代でまだ足腰はしっかりしています。さて、ある日、事件が起きました。若い男性看護師が勤務に入った時でした。たまたま彼がBさんの血圧を測定しました。すると、その後、それを知ったAさんが烈火のごとく怒ったのです。要するに、「私という友人がいながら血圧を若い男に測らせおって!」という事だったらしいのです。軽い嫉妬もあったのかも知れません。以来、AさんはBさんを敵視するようになりました。お互い食堂でも一言も口をききません。ばかりか、Aさんは別のテーブルに移ってしまいました。お互いが、互いの存在を相当ストレスに感じていることは明らかでした。さて、そこで驚くべき変化が起こったのです。Aさんが急にどんどん元気になって行ったのです。そんなある日の事。定例の回診に行った時の事です。ほぼ全部の部屋を回って、事務所に戻りかけていました。すると、誰かが私の肩をトントンとしました。振り返るとそこにAさんがニコニコ笑って立っていました。「先生、これおやつに食べて。」Aさんが差し出した手にはミカンが1個。「Aさん、ここまで歩いて来たの?」私は思わず聞きました。だって、入居して、1年、Aさんはほぼ寝たきりの生活で、廊下を散歩する姿などついぞ見たことはありませんでしたから。
「うん」とAさん。
「一人で?」と私。
「うん、歩けるようになったのよ、私」
「車いすは?」
「ああ、あれ、もう要らない。」
「杖は?」
「あれも要らない。」
これには心底驚愕しました。何がAさんの歩行を可能にしたのでしょう。明確でした。Bさんとの仲たがいから来るストレスがAさんを完全二足歩行復活へと導いたのです。それ以外、理由は考えられません。私は、キツネにつままれたような気持になりながら、ミカンを押し抱くように頂きました。(多少痛んではいましたが(笑))。

そこで思い出したことがありました。いつぞや見たクイズ番組。富士サファリパークではライオンなどの猛獣エリアと、キリンなどの草食動物のエリアを隣り合わせにして、お互いがフェンス越しに常に見えるようにしておくそうです。そこで問題。敢えて隣接させるその理由は何でしょう?皆さん、分かりますか?

動物たちを生き生きと行動させるため、というのが理由だそうです。ライオンたちとキリンたち。決っして相容れない両者を、互いが常に視界に入る状態を作ることによって、どちらにも良い緊張感になって、「餌だけ貰ってあとは常時グダグダ」、っていう生活スタイルから脱却できるんだそうです。

AさんとBさんの関係もまさにこれです。

現代社会はストレスだらけと良く言われます。でも、決して悪い事ばかりじゃ無いのでは?って思うのです。そういう観点で捉えれば、ストレスも愛おしく感じられるかもしれません。さあ、皆さん。明日から自分のストレスを許容してみましょう。そうすれば、新しい世界が開けてくるかも知れませんよ!

卑近例ですが、私の奥さんを御覧なさい。
「あんたの存在自体がストレスなのよ!」
もう耳にタコが出来るほど聞いたセリフです。
でも奥さんが元気(過ぎる)のも、この「俺様というストレス」のお陰に違いないのです。

2019年7月16日

「公開web講演会」というものに参加させて頂きました。重鎮の先生方を招いて、討論会を行い、それをweb上でリアルタイムで公開するという製薬会社主催の企画。1か月前にお話を頂いたときには、「何故に私に白羽の矢が」と訝しく思いましたが、討論会なら学会での講演よりもずっと楽だろう、と軽々しく引き受けてしまいました。

しかし、実際に参加して見て。
いや、これはヤバかった。
テレビのスタジオみたいなところに連れていかれて、カメラに向かって喋らなければいけない。バラエティー番組なんかで見る所謂「カンペ」も本当に出る。スケッチブックにAD(っぽい人)が「次の質問で最後で!」とかホントに出してくる。私以外に、4名のお医者さんが呼ばれていたのですが、いつなんどき、自分に質問が振られるか分からない。司会進行が恩師の慶応大学名誉教授の吉村泰典先生だったことが唯一の救いでした。

さて、講演会の内容は昨年に新しく発売された「ジェミーナ」というホルモン剤の効能について。生理痛が酷い方を対象に、昨年10月に承認された新薬なのですが、今年の9月から長期投与が認可されるということで、製薬会社としては、その宣伝も兼ねていたようです。長期投与が可能になると、月経の頻度を2~3か月に1回程度に調整することが可能になり、その分、月経痛や出血に悩ませられることも少なくなります。アメリカでは、月経痛が酷い若年女性の70%近くはこの長期投与法によって月経を回避しており、吉村先生の言葉を借りれば「日本は20年以上遅れたままだ」という現状を聞いて、恥ずかしながら私も大変驚きました。また、「月経痛からの解放には、親の世代の啓蒙活動も必要だ」、と強く訴える先生もおられました。メディカルパークにも、月経痛が辛くて、高校生や中学生の子がお母さんに連れられて受診する方が大勢います。確かに、その中には、「ホルモン剤は副作用が怖いから止めてください」と強い拒否感を示される親御さんが少なからずいることも事実なのです。

上段:左から、長岡美樹先生(宮益坂メリーレディースクリニック院長)、深沢瞳子先生(赤羽駅前女性クリニック院長)、武者稚枝子先生(稚枝子おおつきクリニック院長)
下段:左から、小生、吉村泰典先生(慶應義塾大学名誉教授)、百枝幹雄先生(聖路加総合病院副院長)

「公開web討論会」、大変貴重な経験でした。
今は無事に終わってホッとしているところです。

最後に独白。
自分を映し出しているモニターをその場でチェックするのですが、これがまあ、「これってホントにオレっすか?」って思うくらいに、驚くほどイケてない。苦虫を嚙み潰したような顔で、髪の毛もボサボサ。ほうれい線もばっちり。いや醜悪の一言。いつも自分の顔をさらけ出している芸能人って、よほど自分に自信が無いとやっていけないんだな、とつくづく思いました。

今度オファーを頂いた時に備えて、これから自分磨きでもしようかな、と思案しています。

あ、もうこないかな?

無排卵月経について

2019年7月09日

「妊娠しないのは、私が排卵していないからでは無いでしょうか?」
「前に行っていた産婦人科の先生から『あなたは無排卵月経かも知れない』と言われた。」
「インターネットの排卵障害の症状に、全部該当してしまって、それで不安になって・・・」
「基礎体温表をつけているのですが、全然バラバラで排卵しているとは到底思えない。」

不妊治療希望の初診患者さんから良く伺う質問です。

今日はこの「無排卵」についてお話を。
こういう場合には、私は必ず月経周期を伺います。すると、大抵の方は、多少のばらつきはあっても、「毎月月経は来ています」とお答えになります。そうすると、私はその場で「大丈夫、ちゃんと排卵していますよ。」と答えてしまいます。患者さんからは、「精密検査もしないで何故そんなに言い切れるのですか?」という訝しがる質問が必ず返ってきます。そのご質問に対しては、「毎月、月経が来ていると仰ったことが最大の根拠です。もしも本当に無排卵月経になっていれば、月経周期がレギュラーになることは有り得ませんから。」と説明するようにしています。

基礎体温表を付けている場合には、もちろんグラフも拝見させてもらいます。そうすると、患者さんが「バラバラ」と表現した折れ線グラフでも、大抵の場合には、ちゃんと二相性の兆候が分かります。下のグラフのような典型的なパターンは実は稀で、もっと曖昧な感じになってしまうので、一般の方には分かりにくいだけの事です。特に最近はスマホのアプリに入力している方が多いので、グラフの縮尺の問題で、更に分かりにくくなっているようです。

ここまでお話すると、やっと皆さん、不安の表情が消えて、笑顔を見せられます。お話だけでそれ以上の検査はしないで、「排卵しているなら安心です!もう少し二人で頑張ってみます!」と帰られる方もいます。勿論、排卵していることを前提として、そこから不妊治療を開始する方もおられます。

排卵が心配で、不妊クリニックに行こうかどうか、悩んでいる方々に参考になれば幸いです。

たびたびの真面目バージョンすみません・・・

「G」違い

2019年7月03日

G20大阪サミットが終わりました。
世界中から要人が大阪に集合したのだから、警備なんかもさぞかし大変だったのだろうと思います。ニュースでもG20の話題で持ち切りでした。

せんべい齧りながら、そのニュースを見ていた妻が。

「凄いわね~。つい数か月前に、G5が発売されたってあんなに話題なってたじゃない?それが、もうG20だって。どれだけ通信スピード速くなるんだろうね~。だめだ、もう私にはついていけない。」

いや、ついていけないのは小生の方でして・・・。

「関わってはいけない」

2019年7月01日

小学生の時のトラウマのお話をします。
多分、4年生位の頃です。習い事に行くために自転車を漕いでいました。習い事は憂鬱です。だから、くそノロノロ運転で、ただ機械的にペダルを回していました。ちょっと前を、杖をついたお爺さんが歩いていました。進行方向は私と一緒だったので、私には背中しか見えていません。すると、その向こうから、男性が歩いて来ました。その人はこちら側に向かって歩いているので、顔が確認できました。多分20代位だったと記憶しています。そして、お爺さんとその若い人が、私の自転車のちょっと前ですれ違いました。静かな住宅街の中、比較的ゆとりのある幅の広い歩道でした。ただ、その時、お爺さんが左によけるか、右によけるか、ちょっとまごついたように見えました。その瞬間、そのお兄さんが怒鳴り声をあげたのです。

「ボケっと突っ立てんじゃねーよ、バカヤロー!」

グダグダしながら自転車に乗っていた私は、その余りに突然の怒声に、びっくらこいてしまいました。そして思わずハンドル操作を誤り、自転車ごと転倒するという失態を演じてしまいました。超スロースピードだったので、ケガなどはしませんでしたが。

帰宅後、母親にその日の出来事を話しました。
私は、「お爺さんは悪くない」、と言い張りました。
すると、母は「どこの世界にもオカシイ人がいるのよ。関わらないようにしなさい。そういうのを世間ではチンピラって言うのよ。」
と私を諭しました。「チンピラ」という言葉を初めて知ったのもその時でした。

昨日のこと。
冷蔵庫を開けて下の引き出しから氷を取り出そうとしていた時です。ちょうど軽く屈んだところに、息子が私の背中を通り過ぎようとしました。

その時、軽く鈍い音がしました。振り向くと息子が足を抱えて悶えています。どうも、私の突き出たお尻をよけようとして、反対側の壁に足の小指をぶつけてしまったようでした。

「おい、大丈夫か?」
声をかけた瞬間、凄い怒号が響きました。

「ボケっと突っ立てんじゃねーよ、バカヤロー!」

一語一句同じ。
幼少時のトラウマをフラッシュバックさせるには十分過ぎるほどの迫力。
居た。
「関わってはいけませんよ」とあれほどきつく母から教えられたチンピラが。
同じ屋根の下、そして目の前に。

このページの先頭へ

スタッフ募集
初診の方はお電話で予約のうえ、ご来院ください。

診療予約
インターネットご予約方法(PDF) »

初診の方へ 問診票(PDF)
こちらの問診票をダウンロードして事前にご記入いただいたものをお持ちいただくと受付がスムーズに行えます。

体外受精説明会

培養士外来予約

Facebook

当院ではクレジットカードでのお支払いが可能です。
利用可能クレジットカード