不妊治療

内視鏡手術と不妊治療

腹腔鏡手術

傷が小さく、痛みの少ない手術法です

腹腔鏡手術は、お腹の3~5か所に5~12mmの小さな穴をあけて行います。炭酸ガスでおなかを膨らませ、直径5~10㎜の棒状のカメラを挿入してお腹の中の様子をモニターで確認しながら、特殊な細い器具を使って手術を行います。

腹腔鏡手術IMAGE

手術はモニターを見ながら遠隔操作で行います。 

腹腔鏡手術は、お腹を大きく切る開腹手術に比べて、傷が目立たない、術後の癒着が少ない、痛みが少ない、入院日数が少ない、早く日常生活に戻れるなどのメリットがあります。
しかしながら、モニターを見ながら手から離れたところで電気メスや針などの器具を使うため、高度な技術と経験がなければ事故や合併症が起こる危険性もあります。

腹腔鏡手術、特に不妊治療と合わせて手術を検討する際は、①日本産婦人科学会認定の内視鏡認定医であること、②腹腔鏡手術の件数が多い医師、病院であることを確認していただきたいと思います。

手術IMAGE

手術室


入院期間

6日間

適応疾患と治療例

子宮内膜症

内膜症は症状や癒着の状態など一人ひとり症状が違い、患者様の治療へのご要望も様々です。
治療にあたっては、腹腔鏡手術、体外受精、一般不妊治療など、選択肢をできるだけ多く準備します。ご希望は遠慮なくお知らせください。

治療例①
腹腔鏡手術により内膜症の病変および癒着をきれいに切除し、腹腔内の環境を改善したうえで自然妊娠を試みます。
治療例②
年齢的に時間の余裕がない場合などは、手術の前に採卵して体外受精を行い、受精卵を凍結しておきます。そして、内膜症の腹腔内手術をしたうえで、移植を行います。
子宮筋腫
大きな筋層内筋腫は切除することによって、妊娠の可能性が上がります。術後3カ月から妊娠を許可し、治療を再開します。当院では術後2~3年で約50%の妊娠率となっています。
卵巣嚢腫
チョコレート嚢腫の場合は不妊に影響しますので、子宮内膜症と同様の治療を行います。
多嚢胞性卵巣症候群
腹腔鏡で、固くなった卵巣に穴をあけて排卵しやすくするドリリング術を行います。
術後の排卵率は8割以上と高く、自然妊娠の可能性を見込めます。効果の持続期間は2ヶ月~2年と個人差があります。ドリリング術は保険適用となります。
卵管周囲癒着
半年程度自然妊娠にチャレンジし、いい結果が得られない場合、腹腔鏡で癒着の確認と剥離を同時に行う方法をとります。